八重山諸島3泊4日の旅
2013年4月20日
会員番号3709 藤井克正
満天の星、美しい夕日、きれいな海を見に
満天の星と美しい夕日、きれいな海を求めて、3月26日から29日まで妻と八重山諸島巡りをした。
八重山諸島とは
鹿児島から南西に向けて、主な島として種子島・屋久島・奄美大島・沖縄本島がある。更に南西に向けて進んで、やっと宮古諸島、八重山諸島となる。その距離、鹿児島からざっと1,000km、台湾の北端より南に位置する。台湾からは約200kmである。
八重山諸島の大きな島は、石垣島と西表島である。その間に竹富島、黒島などがある。そして日本最南端の島、波照間島があり、日本最西端の与那国島も八重山諸島に含まれる。ちなみに尖閣諸島は八重山諸島の北約100kmのところにある。
1泊目波照間島、次の日竹富島サイクリング
先ずは、満天の星が見られることで有名な波照間島を目指す。関空9時発、11時には出来たばかりの新石垣空港に着く。石垣港へはバスで移動。石垣港から波照間島まで約1時間の船旅。先ず船の速度に驚かされる。聞けば時速60~70kmという。驚いたのは速さだけではない。衝撃である。波の高さは軽く見て2m、だぶんもっとある。そこをかなりのスピードで走るせいか、時々どすんと沈む。近くに座っていた小学生が腹にくると素っ頓狂な声をあげた。欠航は日常茶飯事というのも頷ける。港に着くとホテルのバスが出迎えてくれていた。あいにくの曇り空であるが、まだ、十分明るいのでホテルに着くとすぐに電動自転車を借り、島巡りをする。舗装されていない道、目につくのは1mにもなっていないとうもろこしの畑とあちこちにいる山羊、人にはめったに出会わない。電動自転車の電池切れのため、自転車が重く海岸に降りていくのは次の日にした。(ホテルが悪いのではなく、予備電池の付け替え方を私が知らなかっただけ)
夜8時、ホテルのバスで星空観測タワーに行く。あちこちから約50名、こんなにこの島に来ていたのと吃驚。説明員の話が始まった頃、雲が薄くなり、満月がぼんやり見える。 説明員、「満天の星を見に来た人」、全員が手を挙げる。「月のことを考えてきた人」、誰も手を上げない。「今日のように満月に近い日は、例え晴れ渡っていても満天の星を見ることができません。皆さんのところから見る星空とほとんど変わりません。」。 説明が続く。「ここは上空をジェット気流が流れておらず、空気の揺らぎがありません。そのため月が出ていないとき、満天に星を見ることができます。月がでていると月明かりが非常に強く、星の光を消し去ります。月の明かりだけで本が読めます。車を走らせるときライトがいりません。月影も鮮明です。次にここにくるときは月が出ない日を選んで来て下さい。みなさんのところでは見ることができない南十字星、そして、見れば幸せになれるというカノープスが見れます。流星は日常的に見ることができます。流星群がくるときには、一晩で何十個も見ることができます。今年は大きな彗星が2つも来ると云われています。楽しみですね」。 このあと、宇宙の話があった。教科書にない語り口で、これはこれで面白かった。本格的な天体望遠鏡で月が雲のすきまから鮮明に見えたのは、せめてもの慰めであった。
波照間島ニシ浜
波照間島ホテルオーシャンズ
のマスター
朝起きると大雨。欠航でこの島に閉じ込められることを恐れて、予定変更で一番の船で石垣港に帰えることにした。船が出発する頃、雨が止んだ。ホテルのマスターに頼んで、島一番のニシ浜に立ち寄ってもらった。曇り空とは言え、独特な色彩を放つ海をみることができた。
竹富島は、石垣港からわずか10分。当初予定にない竹富島観光をすることにした。港に着くと何故かレンタサイクル、牛車と書いた幟が立っており、その横にバスが待っている。人の流れにつられ、バスに乗り込む。バスから降りたところがレンタサイクル屋さん。今度は充電を確認して自転車を借りる。舗装されているところは少ない。ほとんどが砂地である。ここは人家、お店が島の真ん中に集まっている。レンタサイクルに迎えのバスがあった謎が解ける。
竹富島の民家は石塀と花の中に
何故か、家々は、ぼこぼこに穴のあいた石をブロック状にして、積み重ね、塀にしている。ほとんどの家にぼこぼこ穴の石塀があり、家の内外にブーゲンビリアやハイビスカスの花を咲かせている。おじさんが何処から来ているのかと話しかけてきた。たずねもしないのに、家の説明をしてくれた。ぼこぼこ石の塀は、家を建てるところにあった石をブロックにして積んだだけ。石が多くあったところの家は塀が高く、石が少なかったところは塀が低い。「だけど、この塀は便利なのよぉ。ここは年中暑いから窓を開けっぱなしにする。その時、外からの目隠しになる」。これでまた謎が解けた。更に説明してくれた。「ほとんどの家が2棟構成になっている。ガスがくるまで、煮炊きする棟と生活する棟が必要だったのよぉ。この独特な屋根は明治以降のもの。それまでは、藁葺だったのよぉ」。
竹富島で有名なコンドイ浜、カイジ浜を電動自転車で巡る。 電動自転車のパワフルさに感謝する。もし、この海の色に青い空があれば、どれだけ素晴らしいか、曇天を恨む。
道に迷って見つけた竹富小中学校
石垣港に帰る。次は西表島に行く。西表島にはほぼ北端に上原港があり、南端に大原港がある。この二つしかない。宿は北の上原港近くに予約してある。ところが上原港行きの船が欠航している。もう上原行の船はでないだろうという。仕方なく、南の大原港にいく。大原港に行くとなんとホテルのバスが迎えにきている。聞けば舟が欠航した時だけ迎えにくるという。ここ独特の情報網・交通網ができている。1時間バスに揺られてホテルに着く。大幅に遅れたが、着いてよかった、そう思わなければならないほど、ここでは欠航が普通のようだ。予定していた八重山ボタルの観光ツアーは申込時間切れのため、参加できず。ヴァイキングを気分が悪くなるほど食べて寝る。
2泊目西表島、西表島最大の川を遊覧、滝見、そして石垣島川平(かびら)湾へ
西表島-オヒルギ(多分)
いろんなツアーがあるが、全て満杯。西表島最大の川である浦内川の遊覧船に乗ることにした。船乗り場までタクシーを頼もうとしたが、この島にはタクシーが2台しかなく、現実無理とのこと。自転車を借りる。電動無し、ギアなしのおばちゃん乗り自転車しかない。坂は手押しで30分かけて船着き場につく。舟は上流に向けて進む。マングローブ林が続く。髭むじゃら、伸ばし放題の髪、なんとなく汚らしい若い操縦士が風体にそぐわない爽やかな声を響かせる。「マングローブという木はございません。マングローブというのは淡水と海水が交わる岸辺に生える木々の総称です。日本にはマングローブの木が7種ありますが、ここにはその木すべてが生えています。主なマングローブの木はオヒルギ、メヒルギ、八重山ヒルギです」。川幅は広い。いくつにも別れた根っこが地上や水面の上に出ている木々は、異様に見える。マングローブ林のなかに、次のマングローブになる赤ちゃん木々がに生えている。小さく細くすっと伸びた幹の先に黄緑の葉っぱを一つ二つ、そっとつけている。やわらかく、しなやかであり、それでいて次世代のたくましい息吹を感じさせる。この小さな木々が、三々五々に散らばっている。
西表島-サキシマスオオノキ(多分)
西表島-緑が実に濃い
上流の船着き場に着く。ここからは歩いて滝を見に行けるとのこと。妻は、来た船でそのまま帰り、星砂の浜へ行くとのこと。おいおい案内なしかよ、勝手に行くのかよと思いながら歩き始める。ここ独特の木々が散見される。緑は明らかに濃い。鳥の声はけたたましいのに見えず。といってあたりを見渡す余裕はない。地面に集中していなければ滑ってしまう。 ぬかるみに、こけに、石、岩も多い。石も岩も柔らかいとみえて、人々の足ですり減っている。目的の滝へは1時間弱で着く。カンビレーの滝。この滝には大きな落差はない。小さな落差がいくつも続いている。流れに勢いがある。岩場は広い。みんなそれぞれに滝見を楽しんでいる。帰りの船の時間を考えて直ぐに引き返す。往きは素通りした展望台から、マリュードの滝を見る。これは落差が20mあるというが、遠くに小さく見えるだけなので、実感できない。
西表島-カンビレーの滝
西表島-マリュードの滝
西表島-道中の小さな滝
たくさんの人が舟から下りたが、2時間で帰ってきたのは、3~4人しかいない。みんなゆっくり楽しんでいる。ここは、そうすべきあろう。来た時と同じ若い操縦士のやさしい声がまた聞こえてきた。「帰りは説明がありません」。船はスピードをあげ、あっという間に下流の船着き場に着いた。
妻とホテルで合流。星砂の浜は、長く雄大でいままで見た浜の中で一番とのこと。当初、南の大原港にバスでいくことにしていたので、ホテルに問い合わせると今日は上原港から船がでるので、バスはありませんとの返事。同じ道でわざわざ大原港に行くこともないので、上原港から、どすん、どすんという衝撃を楽しんで、時に苦しんで石垣港へ。流石にもう覚悟しているので、吃驚はしない。
石垣港から最寄りのトヨタレンタカーへ直行。プリウスは人気でレンタル料が高いので、安いヴィッツを借りる。ミシュラン3つ星を獲得した川平湾に向かう。白い砂浜、遠浅で透明感のある海、白い砂が透けて、それでいて何とも言えない海の青を残す。小さな島々が遠浅の海に浮かぶ。島々の緑が海の単調さを消す。妻がお土産屋の主人から、空の青があれば、ここは本当にすばらしいと聞く。今日はあいにく空に青はない。次の宿を目指す。次の宿は夕日がきれいという西海岸のリゾートビレッジ。全く晴れる見込みはないため、夕日は端から断念。
3泊目石垣島
夜中、激しい雨。起きると雨はやんでいた。海岸にでる。波打ち際は1~2mの幅で珊瑚の残骸がずっと続いている。絶景の夕日がみれるという桟橋を、ただ見つめる。レンタカーで石垣島の東海岸にでる。玉取崎の展望台から南北にのびる海外線をみる。数百メートル沖に海岸線に沿って白波が途切れることなく続く。小学生がお母さんに、あそこで急に深くなっているんだと、したり顔で話している。展望台から海岸に下る山腹はハイビスカス畑となっている。
次に向かったのは、石垣島最北端の平久保崎。ここの展望台から灯台を見下ろす。270度の海岸線を見渡す。
石垣島東海岸 玉取崎
石垣島最北端 平久保崎
そして、もう一度川平湾を目指す。昨日ほど雲は厚くない。もう一度きてよかった。昨日とは違って見えた。ここの海の色は多彩である。そして変化する。
ミシュラン三ツ星の石垣島川平(かびら)湾
飛行機の時間が、せまっている。レンターカーを返して、空港に向かう。今度は飛行機が遅れている。直前の飛行機が数時間遅れたのに対し、我々が乗る飛行機の遅れは30分そこそこで助かった。12時を過ぎていたが、無事我が家にたどりつけた。
追記1
聞けば、ここ八重山諸島は来ても島に渡れないことが多いとか。今回の旅行は、あいにく天候が悪く、期待外れのところもあったが、予定した島にも行けたし、ホテルにも泊まることができた。行ったからこそ感じることもいろいろあった。波照島や竹富島は、昔、我々が幼かったときの日本を思い出させる。豊かではない。多分、生活は楽ではない。
そこそこ立派なホテルに泊まったのに、新聞は地方紙しか置いていない。海上保安庁の船を散見した。ここはいろんな思惑が錯綜する場所である。
竹富小中学校は、あふれんばかりの花に埋まっていた。ここ八重山諸島は、人のいるところにたくさんの花がある。耐えて生きるための花かざりのようにも見える。つい最近、新石垣空港ができた。まもなくLCCの飛行も始まる。ここを訪れる人は、確実に増える。多くの地方は便利になればなるほど、人々はでていってしまった。ここもそうなるのではないかと思う。日本全体で地方の活性化策が必要である。
追記2
これを読まれた方は、私の企画で妻がついてきたと思われるだろうが、我が家の旅は逆である。いつも妻が企画・立案し、私がついていく。旅先では、何処へ行くのにも私が後を歩く、次の行き先を知らないので、先を歩くことはできない。どのツアーより多くのところに行き、どのツアーより安くあげたとのこと。貪欲にあちこちを回ろうとする。地元の人用の一定期間乗り放題乗船券があることを聞き出し、竹富島には急に行くことになった。ついていくのも大変である。
妻は事前によく調べるが、私は何もしない。しぶしぶついていき、そこそこ満足して帰る。そして、心の中でいかなかったら、あれもこれもできたのにと、そっと一人愚痴る。
追記3
旅が別に好きでない私も八重山諸島には、もう一度行ってみたい。自然愛好家、アウトドア派、孫との春休み・夏休み旅行などにうってつけである。リピーターも多いと予想する。花粉症対策に長期滞在を決め込む人もいると聞く。立ち寄った食堂に長期滞在者用シェアハウスの入居募集が貼ってあった。ここを満喫するには天候との戦いになるので、長期滞在が望ましい。長期滞在ができなければ、天気の良い日の確率を、できたら月や彗星の運行、流星群がある時も調べていくとよい。でもこのような日は、混雑が予想されるので、早めの予約が必要であろう。
今回、宿泊したホテル:
私はホテルの事前情報を全く持っておらず、何の期待もしていなかった。でもどれもよいホテルだった。紹介します。
又、日頃写真とは無縁で、いい写真が撮れなかったので、以下、ホテルのHPを通して八重山諸島をご堪能ください。
1泊目:
波照島ホテルオーシャンズ
民宿を予定していたが、全て満杯で、民宿の人に紹介してもらったとのこと。小さいホテルであるが、
綺麗・清潔で、食事は満足のいく沖縄家庭料理であった。出かけるとき、鍵を預けたが、帰ってみると受付に誰もおらず鍵が
カウンターにそのまま置いてあったので、ちょっと吃驚。でも、吃驚するほうがおかしい、ここは。
2泊目:
星野リゾート ニラカナイ西表島
部屋のなかに天蓋のある休憩小部屋があるなど立派な部屋に驚く。潮騒の音はうるさいほど。
3泊目:
石垣島フサキ・リゾート・ヴィレッジ
赤瓦屋根のコテージ(一戸建て)。 ここも広々とした部屋ですばらしかった。夕食の予約が
8時まで取れないほど、混んでいた。夕日がきれいに見れる浜に隣接しているが、今回は見れず。