令和3年9月度句会入選句鑑賞 木津和 敏彦選 |
挑むのはスッポン料理を食べてから 今田 和宏 スッポン料理は、精力がつくと言われています。特に男性には有効との事。は たして作者はスッポン料理を食べて何に挑むのでしょうか?。想像を掻き立てる ユーモア溢れる句はさすがです。 ワクチン打ち僅か余生に賭けてみる 岩西 信雄 コロナ感染が続く中、高齢者のワクチン2回接種も終わりましたが、やはり感 染は怖いです。余生にはまだまだ楽しいことがあるはず。高齢者のワクチン接種 への思いを上手く表現されています。 うんうんと相槌打って丸く生き 寺川 はじむ 怒らず、苛立たず、いつも周りに恵比寿顔。作者の好々爺ぶりがわかる素敵な 句です。年齢を重ねるに当たり、こんな人生を送りたいと心から思います。 面目を捨てて実利の浪速っ子 太田 としお 浪速商人は商売上手と言われます。自分たちの利になるなら下出に出ることも 厭わない。そんな浪速商人の気質を上手く表現された一句です。 アンパイヤーの面目潰すVR 村上 玄也 昨今、プロ野球、サッカー等でもVR判定で判定が覆るケースをよく見ます。 将来はAIでのVR判定が主流になり、人間の審判は不要になるのでしょうか?そ れも何か味気ない気がしますが…。「面目」を現代的な視点で表現された秀句です。 面目ないが貸してやりたい金がない 伏見 雅明 借金の断り文句でしょうか。それとも本当に金がない?いずれにせよ堂々とこ う言われたら借金する側も納得するしかありません。口語調で「なるほど」と納得 する一句です。 フサフサもまばらも同じ理髪代 成田 せいじ 確かに髪の多い人も少ない人も理髪代は一緒ですね。サザエさんの波平さんの 理髪シーンを連想し、ほっこりしました。「おかしい」を面白い観点からなるほど と思わせる秀句です。 |