令和6年3月度句会入選句鑑賞 今田 和宏選 |
戦争が平和の顔でやってくる 谷川 憲 小生がそうりゅう会に入会した切っ掛けは、故 小西みのる氏の「おせっかい 人の為して憎まれる」でした。良かれと思って、自己主張を押し突けると争いは 絶えないのではないでしょうか? 田舎道ここでやるのかネズミ捕り 木津和 敏彦 山陰の湯村温泉へ行く山道でネズミ捕りに掛かった苦い経験があるだけに、 お題「まさか」の佳句です。 甘く見て舐めて食らった倍返し 寺川 はじむ お題「あべこべ」を実に上手く詠った句で下五の倍返しはお見事です。 華やかなタカラジェンヌに暗い影 喜田 征治 憧れの花園「宝塚歌劇団」の事件だけに皆が吃驚しました。リズムの良い時事 吟です。 訊かずとも味の具合はあの笑顔 田所 英雄 美味しいものを食べる時は自然と顔がほころぶものです。ツボを得た表現に 感服しました。 メロディーは覚えているが歌詞が出ぬ 村上 玄也 そうりゅう界の平均年齢からしても実感のある川柳でお見事です。 復興の駅に始発のチャイム鳴る 田部 和幸 能登半島の大地震直後だけにグサッと胸に来る名作です。お題を読み込まず の表現にも感服しました。 あべこべにポチの医療費増えている 和住 明次 愛犬、愛猫も長寿時代を迎えて居り、保険制度が無い為にビックリするよう な医療費です。お題の「あべこべ」にぴったりの傑作です。 予備校へ入る予備校難しい 岩崎 公誠 少子化とは言え、有名校への受験競争は熾烈だと聞いております。それにし ても大袈裟な表現で「あべこべ」を詠い上げた川柳らしい傑作です。 |