令和6年10月度句会入選句鑑賞     田所 英雄選

 

 

  若いとき褒美はいつも家カレー       結川 一男 

  戦後復興期の頃 カレーは嬉しいご馳走でした。家族揃って囲む食卓にカレーが。

  ご褒美にと台所に立つお母さんの姿が目に浮かびます。 

  喧嘩にも程を知ってた昭和っ子      谷川 憲

  喧嘩はよくしました。 先生にも叩かれた時代で父兄やPTAに訴えることも無い昭和。

  皆が喧嘩慣れしていましたね。

  私には今も当時の喧嘩傷が残っています。懐かしい思い出です。

   
  ほどほどに食べてる筈がなぜ肥える    井上 輝好

  運動不足でしょうか。同じ思いです。

  きっと奥さんの料理が旨いからでしょう。私は入院で落ちた体重が戻り更に増加中です。

  小太りがむしろ長生きだとか。でもほどほどでありたいですね。

  
  手始めに盛り場探す赴任先        木津和 敏彦

  単身赴任の際 まず食事処とカラオケスナックなどを探りました。

  見知らぬ土地ではお気に入りの飲み屋も早く作りたいですね。

  現役当時が色々甦ります。

  
  とんぼりの灯りが好きでまだ逝けぬ    今田 和宏

  変わらぬ馴染みの光景 思い出詰まる場所 とても大事な処です。

  いつまでも元気で通いたいですね。

  
  朝カラス夜は千鳥のネオン街       田部 和幸

  西日が陰る頃から艶やかな姿で出勤する女性 夜が更け街は千鳥足の男女朝は残飯を狙い集まる

  カラスたち。 盛り場の一日を上手くビジュアルに詠み込まれた句。