令和7年 7月度句会入選句鑑賞     今田 和宏選

   

 

 

 新米も古古古古米もある米屋       喜田 征治  

 「頼んだら米屋に米が無いと言う」そんな米騒動もなんとか決着したこの頃です。
 農政のお粗末さを揶揄された傑作ですネ。 

 

 脈を診る女医の膝見て取り乱す      奥 時雄 

 同じ穴の狢だった時雄さんが、まだまだ達者な川柳をご披露頂き、羨ましい限りです。
 妙薬が
あったら小生にも是非御指南あれ。    

 

 老いたなあちょっとの坂で蹴躓く     谷川 憲 

 九十三歳の小生を覗き見した様な詩でドキッと致しました。足と耳が悪くなると、三半規管の
 乱れも加速して踏ん張りが利かなくなるものです。 

 

 いろいろと悩んだ末のあみだくじ     田部 和幸 

 生身である限り八万四千の煩悩があるそうでから、何かに頼るしか在りません
 あみだくじの
目付がお見事です。 

 

 世界地図眺めるだけのパスポート     和住 明次 

 夢や貯金がいくらあっても、世界旅行も出来ない年代になりました。 
 地図や映像でしか夢を追えない哀愁をユーモラスに詠った名作です。 

 

 色々と乗り換えついに車椅子       小林 旅人 

 終着の駅で待っているのは車椅子とはショッキングな迷作です。高齢者への警告として
 前向きに受け止めたいと思います。共に頑張りましょう 

 

 ダメージを逆手に取って強くなる     米井 とみこ 

 男性陣の句と対比すると全く真逆で面白いなあと思います。前向きな発想に敬服いたします。
 そうりゅうのクイーンとしてご健闘あれ