いよいよ、2016年の釣り同好会の開幕で、狙いは大型マアジで和歌山県・みなべ堺の築山丸での挑戦である。
マアジは本来回遊性の魚であるが、南紀地方では回遊性の黒っぽい細いマアジに対し、≪金アジ≫と冠を称し、岩礁帯の好場に年中居つく黄味色で巾広でずんぐりした美味絶賛・大型マアジを釣らす。
前日から予報では、低気圧に前線が発生し下り坂であるが、釣人の性、すべていいように解釈し釣っている間は大丈夫だと現地に赴くが見事当て外れ、終日、雨中での釣りに泣かされる。
当日は午後便での釣行で、11時過ぎに着き準備をしていると早朝便が帰ってきた。2人の釣り人のクーラーを見せてもらうと、大型マダイを含む3尾に金アジ8尾の人、今まで見たことのないような50cmオーバーのイトヨリダイ6尾に金アジ13尾と、これを見せられては弥が上にも戦意昂揚だ。
正午過ぎ港を出船し南西沖30分、水深75mの築山丸のポイントに着く。操舵室の水温計は21.5℃と海の色は紺碧というのか凄く青みががった深い色で我々を歓迎してくれているようだ。瞬間、これは釣れるぞと100号鉄仮面にアミエビを詰め第1投。潮はゆっくり下へ流れ釣り易く着底と同時に大きく竿を煽り撒餌を振りゆっくり巻く。
電動のスピードを最低に巻き続けると7mで強烈な当たりでムーチング竿が海中に突き刺さり電動が一瞬唸りを上げる。慌てて電動のスピードをスローで巻いているとそれを見ていた船長が≪来たか≫うんと頷く。ここで船長一変、≪そんなスピードで巻いてたらアカナ〜≫。数値10でも15でも≪アカナ〜≫と連発。一体、どこまで早く巻くのかひやひやドキドキ。あと8m、5m、海中に大きな銀黄色の魚影が一つ、その下にまた一つ、Wだ。無事船長の手で船中へ、≪午前の場より大きいなあ〜≫。≪あんなスピードで巻くの≫≪そうよ、スローで巻いてたら時間がかかり、口があいてバレルよぉ〜。逃げる時は遅巻いても早巻いてもバレルよぉ〜≫。納得行くような行かないような。
金アジは、マダイよりも鋭角的な強烈な引きで最後まで抵抗を忘れず、掛かりどころにより口が大きく広がりバレルが、釣り上げて鉤を外そうにも外れない時もあるので、船長のご宣託は納得がいくが、しかし、あのスピードで巻いていては魚影を見るまで心臓に悪過ぎる。
また、イトヨリダイを釣ったのは初めてで、こんこんと当たりの後ぐぅっと来て明らかに金アジと違う抵抗も直ぐに止みバレタのかと思っても付いていた。
終日、止むことを知らない雨の中の釣りで、それでも当たりも止むことはなく、ただ、当たっても取り込み率の悪さは如何ともしがたく数が伸びない。取り込み寸前に強烈な反撃でハリスを滑らすと、その時に限り船長が見ており≪引かなアカナ〜≫と叱咤がとぶ。不思議にバラシの大半は金アジの顔を見ずして起こり、魚影を見てからのバラシはなかった。
少しでも食いが止むと直ぐに移動の繰り返しで、船中、誰かが金アジかイトヨリダイを釣っており、残念ながらマダイを拝謁することはなかった。午後5時納得のいく納竿を迎えた。
当日の釣果は、船中最大の42cmを含む14尾であったが、船長のご宣託のとおり、釣った数以上にバレル時はバレた。
昨年も釣り始めも金アジで、天候も同じく前線の通過の最悪で、釣果も4尾と悲哀を味わったが、今回5名全員、実釣4時間で14〜15尾を釣り満足だった。
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