2019年度シャープ釣り同好会の釣り始めは、例年、アジ釣りで幕があく。このアジは黒潮に乗ってやってくるアジと違って、年中、好礁に居つく黄金色をしたマアジである。
阪和道みなべICで降り国道42号線にでると南部の海が見えてきた。好天であるがかなりきつい風と大きな波が、みなべの磯を洗っており今日の釣りは厳しいぞ。
待つ間もなく早朝便が帰ってきた。クーラーには実に黄金色に輝くマアジが詰まっており、余の魚は一匹もなく金アジ一色だ。これを見せられては弥が上にもファイトが沸いてきた。
港をでると風波が船底を大きく叩く。バタンバタンと恐怖さえ覚え全速では走れず、かなりの時間を掛け白浜沖のポイントに着く。
第1投は水深63mで着底しスローで巻き上げ、5mも上げ当たりが無ければ、また底まで落とし巻き上げを繰り返すが当たりはでない。船長は何度も何度も船を掛け直すが頑として当たりはでない。早朝便の釣り人の釣果が脳裏をかけ巡るが依然として魚信はこない。と、スローで巻いていた竿が突然海中へ突き刺さる。≪来たかぁ~≫と船長が。バレテくれるなと願い電動レベル10で巻いていると、操舵室から出てきて≪もっと、早よ巻かなあかなぁ~≫、と一年振りのハッパでレベルを18に≪ゆっくり巻いてたらバレルよぉ~≫。あかん、そんなに早く巻いたら最初の一匹や、バレタらどうしょう?。人の心を察したのか≪バレル時はバレルんやぁ~≫。連日、アジ釣りをしている船長からすれば永年の経験から得たのだろうが、いくら早く巻いても姿を見る間の長いこと。漸く顔を見せたのが紛れもなく30cmオーバーの金アジだ。時に午後2時、船中1号で実に釣り始めて1時間20分が経っていた。これを契機にぱらぱらと上がりだすが、また直ぐに止まる。その都度、船を掛け直すも好転はほど遠い。
午後4時、とうとう船長は≪船、流すよぉ~≫と。生簀には1匹の金アジが悠々と泳いでいる。これで今日は終わるのだろうか、嫌な不安がよぎる。
掛かり釣りの時は強風で船が振って釣り辛かったが、これで釣れるぞとまたまた期待を持つ。これが最後の手段と仕掛けを天秤フカセ仕掛けから胴突き仕掛けに変えてみた。底をトントンとたたくのが手に取るようにわかる。と同時に竿先が一気に舞い込んだ。来たぁ~。操舵室の船長はニタッとしたように思えた。胴突き仕掛けに喰ったので穂先への反応は尋常ではなく、ようやく1匹を取り込んだが、まだ手応えがある。≪Wか≫と船長。胴突き仕掛けで2投目も小型が釣れ、さあ~これからだ、と仕掛けを変えたのが正解と思えたが、みなべの海はそう甘くはなく、これっきりうんともすんとも言って来ず、今日はこれまでだと判断する。
帰る間のひと時、釣友の多くが2匹ばれた、3匹ばれたとお悔やみを聞いたが3回の当りで4匹釣りバラシは1匹もなかった。ふと、ばらす魚を釣るのとばらさない魚を釣らないのとどちらがいいかの禅問答?に、しばし悩む。
港に帰り船長に、早朝便はよく釣れていたのになあ~と振ると、5時半に出船し10時頃まではよく釣れており、その頃から風、波が出だしそれと共に食いは落ちたと。こう言うこともあろうかと予測していたのかのようにトロ箱に金アジが暴れており、全員有難く頂戴した。勿論、土産のトコブシ、南部の梅は健在であったことは言うまでもない。
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